この空の下
「忘れてね。お互い酔っていたし。私も空のことでめいっていたし、隆哉さんもそうでしょう?」

昨日はお互いに普通ではなかった。


「俺は別に・・」

不機嫌そうに言う。



「ね、無かったことにしましょう。もう忘れて」

精一杯元気に言って、私はシーツを巻き付けて部屋を出ると、シャワールームに向かった。


やっと見つけた職場。

もちろん他の仕事も探してはいるけれど、今ここを辞めるわけにはいかない。

これ以上気まずくなるのは困る。



シャワーを浴び、着替えをすませ、隆哉さんがシャワーを浴びているうちに片付けをすませると、簡単な朝食を用意した。


「どうぞ。お味噌汁と卵焼きくらいしかないけれど」

「ああ」

さっきまで空き缶が並んでいたテーブルで、朝食をとる隆哉さん。


私はまだお酒が抜けなくて、お味噌汁だけで十分。
< 92 / 405 >

この作品をシェア

pagetop