この空の下
「当日、9時に迎えに来るから」


「なんで?」

別にドレスや着物を着るつもりもないから、自分で運転して行ける。

迎えの必用なんて、


「母さんがうるさいんだ」

「はあ?」


それって、約束が違う。

ちゃんと誤解は解くって約束してくれたのに、


「もちろん、付き合っているとか、恋人だとか、思ってるわけじゃない。そこはきちんと否定した」

「じゃあ何?」


「だから・・あんな姿を見せた以上『親しくもないのにたまたま酔っ払って泊まった』とか言うわけにはいかないから、『親しい友人の1人で、あの日は他にも友人達が泊まっていた』と説明したんだ」

うん。

悪くない説明だと思う。

「どこまで信じたかは分からないが、『親しい友人ならパーティーにはあなたがエスコートして来なさい』って言われてさ。悪いけれど、当日は迎えに行くから。母さんにも適当に合わせてくれ」

「はい。分かりました」



「怒ってないのか?」

顔色をうかがう隆哉さん。


「隆哉さんばかりに責任がある話でもないでしょう?私にその一端がある以上、協力します」


とにかく穏便に、ここでの勤務を続けたい。

今はそれだけ。
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