この空の下
パーティーの前には式典があり、理事長や施設長である隆哉さんが挨拶をした。


優しく穏やかな声で話す姿は、とても年下とは思えないほど落ち着いていた。


「素敵な方ですね」


え?

突然かけられた声に、驚いて振り返った。


「あなたは・・・」

「桜井麗子です。先日はお世話になりました」

にっこりと頭を下げる。


「その後いかがですか?」

「はい。薬で落ち着いています。もう少し様子を見ることにしました」

「そうですか。お大事にしてください」

綺麗な色のワンピースを身につけ、メイクもばっちりの麗子さんは、診療所に来たときとは別人のよう。

良いところのお嬢さん感が半端ない。
< 99 / 405 >

この作品をシェア

pagetop