君を待った七年間〜一匹の犬の物語〜
でも、どんなに不安になっても眠気はやってくる。僕たちは一日のほとんどを寝て過ごす。

「わっ!!こいつ、すっごいかわいい!!」

バンッと大きな音がして、僕は目を覚ます。目の前には目を輝かせている男の子。どうやらこの男の子がガラスを叩いたらしい。

「こら!ヨースケ!わんちゃんがびっくりするでしょう!」

その子のお母さんが慌てて男の子を叱る。男の子は「は〜い」と言って、僕の方をまたじっと見始めた。

「あら、結構大きいのね〜」

お母さんが僕のプロフィールを見る。

「ゴールデンだから、まだ大きくなるんじゃないかな?」

男の子のお父さんがお母さんに話しかける。

僕の心の中で、不思議な感覚がしていた。この人たちが僕の家族になってくれると思ったんだ。

「僕、この子がいい!!この子がほしい!!」

男の子がお母さんとお父さんに言う。僕は嬉しさでいっぱいだった。今までは「かわいい」としか言われなかったから。

「僕、ヨースケ!小学校一年生!よろしくな!」
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