君を待った七年間〜一匹の犬の物語〜
僕は、ヨースケくんにぎゅっと抱きしめられる。僕の大きさだともう抱っこはできないからね。

「お前の名前はアポロ!アポロだよ!」

僕は、初めて名前をもらった。そしてヨースケくんの家の車に乗って、初めてペットショップの外へ出た。

その嬉しさは、きっとずっと忘れない。僕は、家族を見つけたんだ。



「こら〜!!アポロ〜!!」

僕は、ヨースケくんの靴をくわえて家の中を逃走中。歯がムズムズしてるんだ。

みんなの靴や引き出しの取っ手、階段を噛んでしまう。そのたびにお母さんたちに怒られるけど、かゆいから仕方ないんだ……。

あと、トイレをなかなか覚えられない。トイレじゃないところでやっちゃうんだ。

「お母さ〜ん!!アポロ、僕の部屋でオシッコした〜!!」

ゲームをしていたヨースケくんが、僕がお漏らしをしたことに気づいて僕を叱る。

「アポロ!!」

叱られてばっかり、と思うかもしれないけど僕はヨースケくんの家で暮らしていて幸せなんだ。
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