オレンジ色のROMANCE
🥕偶然拓成の車に出くわした事があった。彼はチラリとこっちを見たが何も言わず、通り過ぎていった。


それからさらに4ヶ月がすぎた。
何とか就職先も決まりホッとした頃拓成の結婚の噂がはいる。

週刊誌も挙ってとりあげていた。
相手は某化粧品会社の令嬢

大人しそうな綺麗な人だった。歳は26歳
この人なら彼は、幸せになるだろう。

少しホッとしていた。
あれ以来どの、お喉を見ても欲情
せず、無難な日々がすぎた。

舞香は、キャバクラをやめて、
ホテルの結婚式場でバイトを始めた。

式場のセッテイングや、スタッフが動く仕事は率先して動いた。

ある御曹司の結婚式に、拓成が現れた。
突然の出現に驚いたが向こうは、気づいていない様子。

灯りは落とされスタッフに目を向ける者などいない。
花嫁の友人は、みんな綺麗で可愛らしい。

立襟の白いシャッにベスト
膝上の黒いタイトスカート
髪はきっちりと結び清潔さを表す。

きちんとした制服姿の舞香は自分が目立って可愛らしいのに
気づいていない。

何人もの男達の噂の的になっている。


拓成は、綺麗な噂の彼女と現れた。
黒のスーツに流した髪は相変わらずの細マッチョでカッコイイ。

チラチラ見ながらも仕事にせいをだす。
「拓成さん。」
彼女は、当然のように拓成の腕をとり拓成も楽しそうに彼女を受け入れている。

「さ、さ、仕事仕事。」

スタッフと招待客この違いは
確かなものだ。華やかな結婚式。

「次は拓成さんと美咲の番ね。」
そんな会話が舞香の耳にとどく。

覚悟は出来ているのだけど本当に
その日が来ると再認識する光景
だった。

見るからにお似合いで仲がいい。
自分と付き合っている頃には見た
事が無い穏やかな表情は、
彼女がそうさせる魅力があるの
だろう。

彼女は、拓成の嫌がる事をしなさそう。

「良かった。」
彼が幸せならそれが一番だ。
寂しいけど

「 おめでとう。」
寄り添うように立つ2人に祝福
をおくる..

流れる音楽は拓成に寄り添って
よく聞いていた曲。
今は彼女が聞いているんだろう。
彼のお気に入りの曲

3時間彼女は、彼とずっと一緒だった。拓成も静かな微笑みをたたえ彼女の傍から離れない。


帰りにスタッフ一同が並ぶ
「お気を付けて
お帰り下さいませ。」

当然拓成も舞香の前を通る。
静かに頭を下げる。

拓成は、彼女の腕を組んだまま
通り過ぎていった。

バタバタと片付けが始まる。
泣いてちゃ生きていけない。
負けない人生を送ろう。確実に彼は、前を向いて歩き出している。

仕事が終わったのは、九時過ぎ
ていた。お腹も空いてるはずなのに今日はアイスだけでお腹か
ふくれそうだ。

今日の拓成の姿が目に焼き付いて
眠れそうにもない。

あの後拓成と彼女を、迎えに来たで
あろう黒塗りの高級車に
乗り込むのを見た。

自分から手を離したのに彼を取られてしまった寂しさが、後悔が後から後から、未練がましく襲ってくる。











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