オレンジ色のROMANCE

もう彼はあの人のモノだと思おうとしても諦め切れない自分がいる。

マンションは、変わっていない。
もしかしたら彼が迎えに来てくれるかも、なんて淡い期待感があり
そんな事を思うと出る決心が
つかなかった。

その日から何回か拓成の姿を
見かける。遠くからだが間違いなく拓成だ。
彼も結婚式を個々で挙げるのだろうか？

向こうから何人かのプランナーさんと拓成が歩いてくる
右に寄り頭を下げる。
拓成に舞香の姿は見えているはず
なのに知らん顔をされてしまった。

ある噂が耳にはいる。
五十嵐財閥が乗り込んでくる。
つまりオーナーが変わる。

拓成の来訪は、式を挙げるためではなく会社の運営の舵取りの為だった。

オーナーが変わる？
つまり社長は、拓成？

セッテイングをしていると拓成が
現れた。舞香を無視しつつ指示を
する、この時舞香の気持ちが
かたまった。


”やめよう。“

主任に辞める旨を伝える。
バイトの人事は、上まで上がらない。
拡大につき人をバンバン
入れている。

どうせ2月までの期間バイトだ。
あと4ヶ月しか、働けない。

主任が言うには
「今人は、足りているから君の
希望する日に辞めてもらって
構わないよ。」

そちらとしては辞めていく人間より入ってくる人材を育て上げたいのだろう。


「では‼本日で‼」

と答えた時はさすがに驚いていたな。

ロッカーから荷物をバックに詰め外に出る。
ホテルの中の式場なので車止めには、ベルボーイがいる。

従業員出入口に向かうと1台の
赤いフエ〇ー〇が横付けされた。

「もうっ‼危ないっ‼‼」

どんな女が運転してるのか文句
いいたかった。

しかし助手席から降りてきた人物は...

「ありがとう。」

彼は彼女にお礼を言うと上半身が
又車の中に引っ張りこまれた。

しばらくそのままの状態。

何が起きているのか
誰にでもわかる。

パタパタと走り去る。
自然と涙が出てきた。


足は舞香の実家近くの公園へと
向いた。


舞香は、公園のベンチにこしかける。
あの日のように、彼が現れないかと期待する。

小さな子供が沢山遊んでいる。
昔は自分も良く遊んだ。

いじめっ子もいたけど虐められ
ないようになっていた。
何故か舞香の顔を見ると逃げるようになって、どっちが虐められてるのか
分から無いくらいだった。