薄命の妖魔
出会い
 パチパチと芽郁は瞬きをしていました。
 ──ここは何処なんだろう。
 辺りを見渡すと、雪が積もっております。奥の方には巨大な木があちこちにあります。そして、とても寒いです。
──うぅ、寒い…
芽郁は身震いしました。
 すると、遠くからザクザクと歩く音がします。誰か来たみたいです。
 芽郁はホッとしました。しかし、同時に不安もありました。恐る恐る近寄ると、身長160センチ位の男の人が現れました。赤と黒の着物っぽい服に、赤い髪の毛、頭に角──•••
──つ、角!?
その男の人はニヤッとして芽郁の方を向きました。
 「おっ!こんなとこに人間がいるとはなぁ。」
緑の瞳が芽郁をじっと見つめます。
「あ、あの、ぇっと、その、」
芽郁は思うように喋れません。芽郁は男の人にほっぺを舐められました。
「ヒャッ!」
──また死ぬの?
すると、芽郁に不思議な感覚が込み上げてきました。
あの時臭った血の匂い
体中に走る痛さ
サイレンの音
お母さんの泣く声
 芽郁は思い出しました、死んだことを。
 そして、男の人もしかめた顔をしてこう言いました。
「なんかお前、人間の味しない。」
男の人はペッと唾を吐きました。
「そう言えば、人間の匂いもしない。お前、何?」
男の人は芽郁を睨みました。芽郁は、
「人間じゃない、多分幽霊。」
と答えました。男の人はニヤッと笑い、「面白い。」と呟き、芽郁の手を引っ張ると、
「俺の仲間のとこに連れて行ってやる。来い!」
と連れ去られてしまいました。
──えぇー!?
と芽郁は心の中で叫びました。
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