【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 学校が終わると、途中のスーパーマーケットに寄ってからアパルトマンに帰ってきた。

 ここはメトロの駅から徒歩五分ほどで、とても立地のいい場所だ。

 授業のあと、アリッサとベラにカフェに誘われたけれど、夕食を作ると言って断った。ふたりは『新妻って大変ね。今度自宅に招待して、彼に合わせてね』と言って教室をあとにした。

 柊吾さんは友達を招きたいと話したらどんな反応をするかな……。

 ふたりだって眉目秀麗で魅力的な柊吾さんに会えば納得してくれるはず。

 アパルトマンの前にはドアマンが立っていて、私の姿に「お帰りなさいませ」と挨拶し、ドアを開けてくれる。

 ロビーでもコンシェルジュの男性から「お帰りなさいませ。よい一日でしたか?」とにこやかに声をかけられる。

 そして買い物袋を持ってくれようとしたので、私は丁寧に断った。

 帰宅すると、十六時十五分。

 休む暇もなく、私はスマホの料理レシピのアプリを開き、夕食作りを始めた。

 今日のメニューは牛丼とほうれん草の胡麻和え、豆腐とわかめのお味噌汁にしようと思う。

 こんなメニューで柊吾さんが満足してくれるのか心配だけど、私がレシピを見ながらなんとか作れる料理だ。

 十八時過ぎ、柊吾さんが帰宅した。

「お帰りなさい」
「ただいま」

 柊吾さんはリビングへ入り、漂う牛丼のにおいに気づいたようだ。



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