【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「そんなこと言えませんっ。理解できないと思います」
「じゃあ、なんて?」

 軽く首を傾げて見つめる柊吾さんの瞳の奥が、『ちゃんと話して』と言っている気がする。

 私は小さくため息を漏らして、羞恥心をどこかへやった。

「以前、柊吾さんに助けられたことは話してあったので……う、運命の人かもしれないと……」

 やっぱり羞恥心はどこにも行ってくれなかった。声が上擦ってしまい、顔が急激に熱くなった。

「運命の人ね」

 柊吾さんは口角を上げてニヤニヤする。初めて出会ったときの彼みたいだ。

「だ、だってそう言うしか……それでもまだベラのほうは心配して、落ち着いたら招待してほしいと」
「心春が心配なんだろう。もちろん招いていいよ。魅力的な運命の夫になると約束する」

 ふざけた口調で快諾してくれてホッとした。

 このことが気がかりでもあったから。

 それから話をしているうちに十分が経ち、ご飯が炊けた。

 私たちはダイニングテーブルで食事を始める。

 牛丼は煮詰まってしまい、味が濃くてはっきり言って美味しくなかった。

 お水を足せばよかった……。

「ごめんなさい。美味しくないですね」

 ひと口食べて謝る。

「食べられないことはないよ。こうしてみんなうまくなっていくんだろうし。味噌汁は美味しい」

 お味噌汁は梨沙直伝の分量だったからうまくできてよかった。時間ができたら梨沙の料理教室へ行こうかな。

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