【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 四階までの住人は階段を利用するが、このアパルトマンの所有者であるオーリィ氏の住居には専用エレベーターがついている。

 エレベーターに乗って五階で降りた踊り場で、オーリィ氏と梨沙が待っていてくれた。

「ハル! また綺麗になったみたいよ!」

 梨沙が私を抱きしめ、頬と頬を寄せる。

 オーリィ氏の歓迎のハグが済み、私は柊吾さんを紹介する。

「旦那さまのシュウゴ・ヤガミです」

 旦那さまと口にするのは照れくさくて、頬が熱くなった。声が上ずらなくてよかった。

「八神です。心春がお世話になりました」

 柊吾さんは微笑みを浮かべ、ふたりに挨拶し握手をする。

「ムッシュ・ヤガミはフランス語が流暢ですね」

 オーリィ氏が目尻を下げ、柊吾さんのフランス語を褒める。

「シュウゴと呼んでください。こちらでは心春はハルと呼ばれていたんですね」
「どうぞ入って。そうなの。ハルのほうが呼びやすいからって」

 廊下を通り、ダイニングルームへ案内される。隣は梨沙自慢のキッチンだ。

 テーブルの上に花が飾られ、オーリィ家とっておきのお皿とカトラリーがセッティングされていた。梨沙は張り切って腕によりをかけて作ってくれたようだ。

「ハル!」

 ジュリアンとポーリンがダイニングルームに入ってきた。

 表情をこわばらせたジュリアンは、私だけをまっすぐ見てつかつかと近づいてくる。


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