【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 私たちを降ろすと車は去っていく。二時間後に迎えに来ると、柊吾さんは教えてくれた。

 サン・ピエトロ広場の壮大さに圧倒されながら、まずは大聖堂へ足を運ぶ。

 サン・ピエトロ大聖堂はイタリア・バロック様式の建築物で、聖堂内にミケランジェロの代表作が置かれている。

 じっくり観たいところだけど、今回は一泊二日。明日の夕方のフライトでパリへ帰らなくてはならないから駆け足の鑑賞になる。

 でも、来られただけでも幸せで、柊吾さんに感謝でいっぱいだ。


 ヴァチカン美術館では、ラファエロやレオナルドダヴィンチの絵画、古代ギリシャや古代エジプトなどの展示品も見ることができた。

 ラファエロの間やコンスタンティヌの間にあるフレスコ画や彫刻にもうっとりするばかり。

 柊吾さんは何度か来たことがあるそうで、私を連れ回し感動させることに専念してくれていた。

「どう?」

 ホ~ッと口を開け、のけ反るように天井のフレスコ画を観ている私に、柊吾さんは楽しそうに聞いてくる。

「うん。もう最高! 柊吾さん、ありがとう」

 視線を隣に立つ柊吾さんに移してにっこり笑う。

「もっと観ていたいところだろうが、時間がない。また来よう」

 柊吾さんは私の手を握って出口に向かった。

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