【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ～御曹司と溺甘な政略結婚～
「ハル、またね。柊吾さんと幸せに。東京へ行ったら案内して」
「ジュリアン、勉強頑張ってね。東京で行きたいところ考えておいて」

　ジュリアンとも軽いハグをして、迎えの車に乗り込んだ。

　永遠の別れではない。今月下旬にはオーリィ家が日本へやってくるのだから。

「心春、大丈夫か？　窓を開けよう」

　車の横でオーリィ家が手を振っていた。

　隣に座る柊吾さんは、運転手に窓を開けるように指示する。

　私が窓から顔を出してもう一度別れの挨拶をしたところで、車が動き出した。

「オーリィ家は心春にとって、第二の家族のようなものだな」
「第二の家族……そう。その言葉がぴったりね！　すぐに会えるから、全然寂しくないの」

　にっこり笑う私の手を柊吾さんがふんわりと握る。

「心春、俺の前では無理をしないでいいんだ。俺が全部受け止めるから」

　柊吾さんの端整な顔を見つめ、彼の存在の大きさを再確認する。

　もう私の人生は彼なしでは考えられない。彼がいないとつまらない人生になるのだという思いに駆られる。

「ありがとう。柊吾さん」

　私の心の中は冬の寒いパリで暖炉にあたっているくらい暖かくなった。

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