【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
辻野さんは腕時計を見てから手際よく出口へと促す。
「行こう」
柊吾さんは私の背に手を置き、歩き出した。
車に向かいながら、私は妻らしく挨拶できなかったことにため息をつきたくなった。
でも、ああいう場面でなんて言ったらいい?
『うちの主人がお世話になっています』? それとも『家内の心春です。よろしくお願いします』?
いくつかの言葉が頭に浮かんだけど、恥ずかしくて声に出せなかった。
そんな自分を子供だなと思い、自己嫌悪に陥る。
空港の外では、黒塗りの高級車が待っていた。
運転手が車の横に立っており、柊吾さんからスーツケースを受け取り、トランクに入れる。その間に、辻野さんが後部ドアを開けた。
私が先に乗り込み、柊吾さんが隣に座る。辻野さんは助手席だ。
私たちがシートベルトを装着すると車は静かに動き出した。
「辻野さん、明日の予定を確認したい。変更はないか?」
柊吾さんが声をかけると、彼女は上半身を後ろに向け、手に持つタブレットを見ながら口を開く。
「はい。変更はありません。明日は九時三十分より取締役会議、その後、専務と常務とランチミーティング。十四時から主要な取引先の挨拶回りを予定しております」
明日から八神物産の社長としての仕事が始まる。スケジュールを聞いているだけで、大変そうだ。
パリでは真夜中も働いていることがあったけど、それとは比較にならないくらいに忙しくなるのかも。
早くもパリでの生活が懐かしくなる私だった。
その後も、柊吾さんと辻野さんは仕事の話をしており、私は邪魔をしないように窓の外を眺めていた。
「行こう」
柊吾さんは私の背に手を置き、歩き出した。
車に向かいながら、私は妻らしく挨拶できなかったことにため息をつきたくなった。
でも、ああいう場面でなんて言ったらいい?
『うちの主人がお世話になっています』? それとも『家内の心春です。よろしくお願いします』?
いくつかの言葉が頭に浮かんだけど、恥ずかしくて声に出せなかった。
そんな自分を子供だなと思い、自己嫌悪に陥る。
空港の外では、黒塗りの高級車が待っていた。
運転手が車の横に立っており、柊吾さんからスーツケースを受け取り、トランクに入れる。その間に、辻野さんが後部ドアを開けた。
私が先に乗り込み、柊吾さんが隣に座る。辻野さんは助手席だ。
私たちがシートベルトを装着すると車は静かに動き出した。
「辻野さん、明日の予定を確認したい。変更はないか?」
柊吾さんが声をかけると、彼女は上半身を後ろに向け、手に持つタブレットを見ながら口を開く。
「はい。変更はありません。明日は九時三十分より取締役会議、その後、専務と常務とランチミーティング。十四時から主要な取引先の挨拶回りを予定しております」
明日から八神物産の社長としての仕事が始まる。スケジュールを聞いているだけで、大変そうだ。
パリでは真夜中も働いていることがあったけど、それとは比較にならないくらいに忙しくなるのかも。
早くもパリでの生活が懐かしくなる私だった。
その後も、柊吾さんと辻野さんは仕事の話をしており、私は邪魔をしないように窓の外を眺めていた。