【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「ハル、ジャガイモのお味噌汁を作ってくれる?」

「はい」

 梨沙の指示で、食品庫からジャガイモを二個持ってくる。

 正直言って、料理は得意ではない。日本にいるときはほとんど料理をしなかった。

 フランスに来てからちゃんと作れるようになったのが、お味噌汁だった。

 今は梨沙に教えてもらいながら、少しずつレパートリーを増やしている。

 フランスでは日本食が流行っていて、料理研究家でもある梨沙はマダムたちに日本料理を教えている。

 ランチを兼ねた少人数の料理教室は、ここのキッチンとダイニングルームで開いている。キッチンは広く、作業台は五人が使っても問題ないくらい大きい。

 ウォーターサーバーから鍋に水を入れ、火にかける。沸騰までにジャガイモをピーラーで剥き、ひと口サイズに切る。

 隣で梨沙はとんかつを作っていた。

「エヴァンのリクエストなの。あまり食べさせたくないんだけど」

 梨沙は小さく笑う。

 オーリィ氏は身長もあるけど、お腹周りはだいぶ大きい。

「私もとんかつ大好きです。ジュリアンも喜びますね」

 若いジュリアンはいくら食べても太ることはなさそうだ。私はスイーツも好きだから体重が増加しないように気を付けている。

 
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