【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 そのまま仰向けにゴロンと倒れ、スマホを開き、真悠と裕美に無事に日本に到着したことをメールする。

 少ししてインターホンが鳴った。お父さんが帰宅したようだ。

 階下へ降りたところでお父さんが玄関に姿を現した。

「心春、お帰り」

 日本中に画廊を展開する父は身だしなみを常に意識している。

 顔は外国人のように彫りが深く、少しだけお腹が出ているけれど、長身なのでスーツを身につけると、五十三歳の実年齢よりも若く見え、娘の私から見てもカッコいいと思う。

「お父さん、ただいま」
「華代(かよ)。早いが食事にしよう。着替えてくる」
 
 お母さんは「はい」と言葉にして、その場を離れた。
 
 なんとなくふたりが緊張しているように感じてしまうのは、帰国した理由のせい? もしかして離婚ってことはないよね……?
 
 まさかそんなはずはないと首を左右に振った。

 
 四人掛けのダイニングテーブルの上に、すき焼き用の鉄鍋が用意されていた。
 
 隣の部屋にも八人掛けの大きなテーブルがあるが、家族での食事は対面キッチンのすぐ近くにあるこのテーブルを使う。

< 30 / 250 >

この作品をシェア

pagetop