【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「誰の結婚相手?」

 私のはずがない。私はまだ十八歳なのに。

「お前しかいないだろう」
「しかいないだろうって、そんなの勝手に決めないでよ!」

 わけがわからない横暴な話に、困惑するよりも先に怒りがこみ上げてくる。

「明日、顔合わせだ。ホテルで振袖を着る手配も済んでいる」
「お母さんっ! どういうこと?」

 この若さで結婚しなくてはならないの? それも親の決めた顔も知らない相手と? 自分が好きになった人と恋愛して結婚するつもりだったのに。

 お箸を持つ手がプルプル小刻みに震えてくる。

「素敵な人よ。結婚相手には申し分のない男性だから安心して」
「いくら素敵な人でも、私の気持ちってものがあるでしょう? まだまだやりたいことがあるんだから結婚なんて先のことなのにっ。勝手に決めないで」
「心春。お前には言っていなかったが、我が社はここ数年業績が厳しく、八神(やがみ)物産から融資を受けることになるんだが……」
「業績が厳しく……? 融資?」

 寝耳に水で唖然となる私だ。


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