【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「ああ。どうにもならなくなっている。ただ、融資を受けるには条件があるんだ」
「条件?」
「その条件とは、お前が八神物産の社長の息子と結婚することなんだ」
「……八神物産の息子と結婚っ!?」

 いったいどういうこと?

 二年間のパリ生活のあとは日本に戻って大学へ行き、お父さんの仕事を学んで画廊で働こうと考えていた。結婚は三十五歳くらいまでしないつもりだったのに。

「ああ。現在、パリ支社の支社長だ。八神柊吾(しゅうご)君という」
「パリにいるの? 支社長って、年齢はいくつ? すごい年寄りなんじゃないの?」

 私のイメージする支社長クラスといったら、お父さんくらいの年代を想像してしまう。

 眉根をギュッと寄せながら、お父さんの次の言葉を待つ。

「おいおい、息子さんはそんな年寄りではないよ。三十一歳だ。男でも目を見張るほどの眉目秀麗だ」
「私と十三歳も離れているわ! 会社のためだからって、そんなおじさんと結婚させられるなんてひどいっ!」
「写真を見るか? いい男だぞ。ちょっと待っていなさい」

 お父さんは席を立ち、そそくさとダイニングルームを出ていった。



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