【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「心春、煮詰まっちゃうから食べなさい」
「お母さん、それどころじゃないわ」

 写真を見たからって気が変わるものじゃない。

 これって政略結婚ってこと?

 そこへお父さんが手ぶらで戻ってきた。

「すまない。会社に写真を置いてきてしまったようだ。とにかく明日会ってみてくれ。会えばどれだけ素敵な人物かわかる」
「眉目秀麗で素敵な人、パリにいるならさぞかしモテるんじゃないの? 女遊びが激しい人の妻にさせてもいいの? 結婚したら私が泣かされるかもしれないんだよ? 娘がかわいくないの?」

 泣き落としの作戦に出てみたけど、お父さんは憮然とした表情で首を横に振る。

「お前を大事にしてくれるさ。十三歳離れた幼な妻なんだぞ? 包容力もある大人の男にお前を任せることができて私は満足している」
「任せるって!? 私は結婚するって言ってないわっ」
「明日会わないというのなら、私にも考えがある」

 お父さんはこの会話に苛立ちを見せ始め、きっぱりと最後通告してきた。

 私が言うことを聞かなければ、留学の援助を打ち切るつもりなんだろう。

 どっちにしても私はパリの語学学校へ戻れるのか……。ううん! 日本でアルバイトをして自分で学費を貯めてでも、パリへ戻るから!

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