【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「九時に家を出るからな。ホテルで支度をして昼の会食で顔合わせだ」
「……とりあえず会うけど、結婚は期待しないでね!」
今すぐにでもパリへ戻りたい。けれど、それではあまりにも子供だし、私が結婚しなかったら、お父さんの立場がどうなるのかもわからない。
やっぱり親だから心配はしている。
「心春、食事が終わったらお風呂に入って、お顔にパックしなさいね」
お母さんの呑気さに大きなため息をつきたくなった。
「パックなんてしませんっ」
苛立っていても食欲はなくならず、大好きなすき焼きをせかせかと口に運び、席を立った。
お風呂から上がって、自分の部屋に入った私は濡れた髪にタオルを巻きながら真悠に電話をしてみる。
気持ちがとげとげしていて、話を聞いてもらいたかったのだ。
《心春! お帰り~》
真悠の元気な声が聞こえてきた。
「ただいま……」
彼女にかけておきながら、やはり話していいものかためらいが出た。
《あれ? なんか声が沈んでない? 一時帰国の理由はわかった?》
「それが……真悠、驚かないでね?」
《前もってそんなこと言うなんて、心春、変だよ?》
真悠の声が怪訝そうだ。
「……とりあえず会うけど、結婚は期待しないでね!」
今すぐにでもパリへ戻りたい。けれど、それではあまりにも子供だし、私が結婚しなかったら、お父さんの立場がどうなるのかもわからない。
やっぱり親だから心配はしている。
「心春、食事が終わったらお風呂に入って、お顔にパックしなさいね」
お母さんの呑気さに大きなため息をつきたくなった。
「パックなんてしませんっ」
苛立っていても食欲はなくならず、大好きなすき焼きをせかせかと口に運び、席を立った。
お風呂から上がって、自分の部屋に入った私は濡れた髪にタオルを巻きながら真悠に電話をしてみる。
気持ちがとげとげしていて、話を聞いてもらいたかったのだ。
《心春! お帰り~》
真悠の元気な声が聞こえてきた。
「ただいま……」
彼女にかけておきながら、やはり話していいものかためらいが出た。
《あれ? なんか声が沈んでない? 一時帰国の理由はわかった?》
「それが……真悠、驚かないでね?」
《前もってそんなこと言うなんて、心春、変だよ?》
真悠の声が怪訝そうだ。