【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「私、政略結婚させられそうなのっ!」
《ええ――――っ!?》
あまりの驚きように、私は耳からスマホを遠ざけた。
《ちょ、ちょっと! 心春っ! どういうこと!?》
スマホを少し離していても、真悠の大きな声は聞こえてくる。
「お父さんの会社の財政状況がよくなくて、八神物産に融資してもらう条件が八神家の長男との結婚ってわけなの」
《八神物産っていったら、日本でもトップクラスの商社じゃない。そこの息子なら御曹司ね!》
「御曹司……まあそうだよね。でも、年が三十一歳のおじさんなのっ。そんなの我慢できる?」
私は髪に巻いていたタオルを外して、ドレッサーの前に腰を下ろす。
不機嫌そうな顔が鏡に映っている。
両手が使えるようにスマホをスピーカーにし、化粧水を湿らせたコットンで顔にパッティングしていく。
《三十一歳かぁ……ひと回り以上も年上だなんて話が合わないよね》
「でしょう? お父さんは私を愛していなんだと思う。仕事の駒に使うくらいだもの。もしかしたら私は養女なのかもっ!」
だんだん卑屈になっていく自分が嫌になる。
《でも心春は家族思いのいい子だから、言うことを聞くんでしょ?》
さすが幼稚園の頃からの友人。私のことをよくわかっている。
《ええ――――っ!?》
あまりの驚きように、私は耳からスマホを遠ざけた。
《ちょ、ちょっと! 心春っ! どういうこと!?》
スマホを少し離していても、真悠の大きな声は聞こえてくる。
「お父さんの会社の財政状況がよくなくて、八神物産に融資してもらう条件が八神家の長男との結婚ってわけなの」
《八神物産っていったら、日本でもトップクラスの商社じゃない。そこの息子なら御曹司ね!》
「御曹司……まあそうだよね。でも、年が三十一歳のおじさんなのっ。そんなの我慢できる?」
私は髪に巻いていたタオルを外して、ドレッサーの前に腰を下ろす。
不機嫌そうな顔が鏡に映っている。
両手が使えるようにスマホをスピーカーにし、化粧水を湿らせたコットンで顔にパッティングしていく。
《三十一歳かぁ……ひと回り以上も年上だなんて話が合わないよね》
「でしょう? お父さんは私を愛していなんだと思う。仕事の駒に使うくらいだもの。もしかしたら私は養女なのかもっ!」
だんだん卑屈になっていく自分が嫌になる。
《でも心春は家族思いのいい子だから、言うことを聞くんでしょ?》
さすが幼稚園の頃からの友人。私のことをよくわかっている。