【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「さあ、できましたよ」
年配の女性スタッフの声で我に返った私はクルリと向きを変えさせられ、鏡で全身を見る。
帯の形が豪華で本当に華やかだ。
「じゃあ、行きましょう。お父さんが首を長くして待っているわ」
クリーム色の草履に足を入れてサロンを出ると、隣の部屋でお父さんは待っていた。ブラックフォーマルスーツ姿で、ペーズリーの模様が入っている明るい青色のネクタイをつけている。
「心春、綺麗じゃないか。私は鼻が高いぞ」
イスから立ち上がったお父さんは目尻を下げた。
「時間もちょうどいいな。くれぐれも失礼のないようにな。では行こう」
これから政略結婚の相手に会うというのに、ドキドキもしない。一刻も早く断って、パリへ行くことだけが望みだ。
サロンのある五階からエレベーターに乗り、三十階へ向かう。
約束の十分前に有名な懐石料理店に到着すると、着物姿の上品そうな女将(おかみ)に出迎えられ、「お連れさまはいらしております。どうぞこちらへ」と案内される。
ふすまのある個室の前で、女将は立ち止まった。
「失礼いたします。お連れさまのご案内です」
部屋の中へ声をかけた女将はふすまを開け、私たちに入るように促す。
年配の女性スタッフの声で我に返った私はクルリと向きを変えさせられ、鏡で全身を見る。
帯の形が豪華で本当に華やかだ。
「じゃあ、行きましょう。お父さんが首を長くして待っているわ」
クリーム色の草履に足を入れてサロンを出ると、隣の部屋でお父さんは待っていた。ブラックフォーマルスーツ姿で、ペーズリーの模様が入っている明るい青色のネクタイをつけている。
「心春、綺麗じゃないか。私は鼻が高いぞ」
イスから立ち上がったお父さんは目尻を下げた。
「時間もちょうどいいな。くれぐれも失礼のないようにな。では行こう」
これから政略結婚の相手に会うというのに、ドキドキもしない。一刻も早く断って、パリへ行くことだけが望みだ。
サロンのある五階からエレベーターに乗り、三十階へ向かう。
約束の十分前に有名な懐石料理店に到着すると、着物姿の上品そうな女将(おかみ)に出迎えられ、「お連れさまはいらしております。どうぞこちらへ」と案内される。
ふすまのある個室の前で、女将は立ち止まった。
「失礼いたします。お連れさまのご案内です」
部屋の中へ声をかけた女将はふすまを開け、私たちに入るように促す。