【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
まずお父さんが入室し、お母さんと私が続く。
私は久しぶりの着物。いつもより豪華な振袖はお正月などに着る小紋と違って、三十センチほどの段差でも上がりづらかった。
草履を脱ぎ、一歩踏み出した私は慣れない振袖の裾さばきがうまくいかなくて、ヨロッとふらついてしまう。
転ばなくてよかったと安堵し顔を上げた瞬間、室内にいた男性を見て目を見張る。
「あっ!」
私の口から驚きの声が漏れるが、周りには聞こえなかったよう。
お父さんとお母さんは、ロマンスグレーといった言葉がよく似合う男性と、萌黄色の訪問着を着た優しそうな女性に挨拶している。
ご夫婦は少し年が離れているようで、男性のほうが年上に見えた。
そして、もうひとり。そこにいたのはオルセー美術館へ行く途中、絡まれていた私を助けてくれたあのイケメンだった。
思わず食い入るように見てしまっている私の瞳と、彼の黒い瞳が合う。
彼はあの日のカジュアルな服装とは異なり、紺色に細かいストライプの入ったフルオーダースーツを着用していた。髪はサラッとした前髪をアップバングにしており、精悍さが増している。
私は久しぶりの着物。いつもより豪華な振袖はお正月などに着る小紋と違って、三十センチほどの段差でも上がりづらかった。
草履を脱ぎ、一歩踏み出した私は慣れない振袖の裾さばきがうまくいかなくて、ヨロッとふらついてしまう。
転ばなくてよかったと安堵し顔を上げた瞬間、室内にいた男性を見て目を見張る。
「あっ!」
私の口から驚きの声が漏れるが、周りには聞こえなかったよう。
お父さんとお母さんは、ロマンスグレーといった言葉がよく似合う男性と、萌黄色の訪問着を着た優しそうな女性に挨拶している。
ご夫婦は少し年が離れているようで、男性のほうが年上に見えた。
そして、もうひとり。そこにいたのはオルセー美術館へ行く途中、絡まれていた私を助けてくれたあのイケメンだった。
思わず食い入るように見てしまっている私の瞳と、彼の黒い瞳が合う。
彼はあの日のカジュアルな服装とは異なり、紺色に細かいストライプの入ったフルオーダースーツを着用していた。髪はサラッとした前髪をアップバングにしており、精悍さが増している。