【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ～御曹司と溺甘な政略結婚～
「実は偶然にも最近、心春さんにパリで会っているんですよ」

　えっ？

　知られたくないのかと思っていたのに、口にするということは私の憶測は間違っていたようだ。

　私があのときの女の子か確認したの？

　両親たちは驚いており、私も口を開かないわけにはいかない。

「はい。オルセー美術館へ向かう途中、若い男の子に声をかけられたところ、八神さんに助けていただきました」

　私は八神氏と奥さまににっこり笑顔を向けた。

「それは偶然だな。息子が通りがかりよかった。心春さんはかわいいから、パリでよく声をかけられるのでは？」
「パリの男に日本人女性は好かれますからね」

　八神氏の言葉に、息子の彼は意味深に笑って言葉にした。

「まあ！　それは心春さんが心配だわ。結婚後もパリに住むのですから、柊吾さんが守って差し上げないと」

　奥さまの言葉に八神氏が頷いたところで、煮物やお造りが運ばれてきた。

　八神さんはひとつひとつの料理を美味しそうに食べている。

　パリ生活が長いなら、日本食は久しぶりなのかな？

　でも、市内にはたくさんの日本食のレストランがある。少々お高いけれど、彼ならばまったく気にしないだろう。


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