【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「はい。着替えさせていただきます。本日はありがとうございました。失礼いたします」
私は今日のお礼を口にして、八神夫妻に向かって頭を下げた。
八神さんも私の両親に挨拶をしている。
私が一段下がったところにある草履に足を入れようとしたとき、後ろから手が掴まれ支えられる。
八神さんだった。
「ロビーラウンジに来て。急がなくていいから」
「はい」
支えられたまま草履を履き、両親と共にレストランを後にした。
五階のサロンに入った途端、お母さんが嬉しそうに顔を緩ませながら口を開く。
「心春、よかったじゃない。他の男性なんて霞(かす)んじゃうくらいカッコいい人が旦那さまになるのよ」
「……まだ結婚したくないって言ってるでしょ。いくらイケメンでも性格がおかしいかもしれないし」
女性スタッフが振袖を脱がし始める。私は人形のように両手を横に広げて、うんざりした顔を見せた。
「そんな人ならお父さんがすすめるはずはないわ。話した感じもすごく魅力的だったじゃない」
「はいはい。魅力的な人なら彼女がいるって思わない?」
「いないからこの縁談を受けたんじゃないのかしら? 結婚したら、柊吾さんは心春をかわいがってくれるわよ。それにこれ以上望めないほどの素敵な義理の両親だわ。柊吾さんとふたりだけになったらかわいらしく振る舞うのよ」
お父さんとお母さんはこの政略結婚の話をこれ以上ないものだと考えているから、なにを言っても無駄なのかもしれない。
私は今日のお礼を口にして、八神夫妻に向かって頭を下げた。
八神さんも私の両親に挨拶をしている。
私が一段下がったところにある草履に足を入れようとしたとき、後ろから手が掴まれ支えられる。
八神さんだった。
「ロビーラウンジに来て。急がなくていいから」
「はい」
支えられたまま草履を履き、両親と共にレストランを後にした。
五階のサロンに入った途端、お母さんが嬉しそうに顔を緩ませながら口を開く。
「心春、よかったじゃない。他の男性なんて霞(かす)んじゃうくらいカッコいい人が旦那さまになるのよ」
「……まだ結婚したくないって言ってるでしょ。いくらイケメンでも性格がおかしいかもしれないし」
女性スタッフが振袖を脱がし始める。私は人形のように両手を横に広げて、うんざりした顔を見せた。
「そんな人ならお父さんがすすめるはずはないわ。話した感じもすごく魅力的だったじゃない」
「はいはい。魅力的な人なら彼女がいるって思わない?」
「いないからこの縁談を受けたんじゃないのかしら? 結婚したら、柊吾さんは心春をかわいがってくれるわよ。それにこれ以上望めないほどの素敵な義理の両親だわ。柊吾さんとふたりだけになったらかわいらしく振る舞うのよ」
お父さんとお母さんはこの政略結婚の話をこれ以上ないものだと考えているから、なにを言っても無駄なのかもしれない。