【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ～御曹司と溺甘な政略結婚～
「起きて。着いたぞ」

　肩を揺すられて目を開けた。

　一瞬どこにいるのかわからなかったが、すぐに思い出す。そしてぼんやりした目を車窓の向こうへやった。

　先ほどのホテルとさほど変わらないような場所に車が停められ、外にグレイの制服を着たドアマンが立っている。

「本当に眠るとは思わなかった」
「……私は眠くなると頭がぼんやりしちゃうんです。それより、ここは……？」

　眠気は先ほどよりなくなっている。

「日比谷のホテルだ」

　港区の五つ星ホテルを出た車が次に止まったのは、日比谷にあるやはり同等クラスのホテル。

「降りて」
「話をするなら、周りに人がいない公園とかでも……」

　どうしてホテルなんかに行くのか、困惑している。

　まさか部屋に連れ込むとか？

「公園？　高校生じゃないんだ。そんなところで話なんかできない」

　そっけなく却下され、八神さんは車から降りた。

　私が座っている側のドアも外からドアマンによって開けられる。車から出て、先に降りて待っている八神さんに仕方なく近づく。

「無理やりどうこうしようっていうわけじゃないから安心しろよ」
「そ、そんなこと考えていませんからっ」

　八神さんは笑って私の肘に手を添えて、エントランスを進んでいく。

　ロビーに入ってすぐ、黒いスーツを身につけた男性が近づいてきた。


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