【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「午後、真悠に会ってくる」

 まだ大学生は夏休み。昨晩、メールをしたら今日の午後に会うことになったのだ。

「あら、そうなの。八神さんと籍を入れたらすぐにパリへ行っちゃうんでしょう? お母さんとも出かける日を作ってね。お買い物をしましょう」
 お母さんは私が八神さんと結婚すると疑わないのか、それとも嫌だと言えない雰囲気を作っているのかわからない。

「うん。わかった」

 適当に返事をする私にお母さんは嬉しそうな顔になった。


 八神さんとの約束は十八時。それに間に合うように、私と真悠は有楽(ゆうらく)町(ちょう)のカフェで会うことにした。

 レースがあしらわれている白の半袖のトップスに水色のスカートを着た私は、複合商業施設の三階にあるカフェに入り、店内を見回す。

 先に来ていた真悠も入口のほうを気にしていたようで、私の姿に「こっちこっち」と手招く。

「久しぶり! 早かったね」

 私は笑顔で、真悠の前に腰を下ろす。

「画材店に寄りたかったから早めに家を出たの」

 四人掛けのテーブルのイスには画材店の大きな袋が置いてある。

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