【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ～御曹司と溺甘な政略結婚～

「心春、綺麗になったね。黒Ｔとデニムの自分が恥ずかしくなるよ」

　真悠は自分の黒のＴシャツを指さして苦笑いする。彼女は耳までのベリーショートでボーイッシュな雰囲気。かわいい男の子にも見えなくはない。

「綺麗になんてなっていないって。このあと約束がなかったら私も真悠と同じ服装だったよ。オーダーした？」
「ううん。まだ」

　私たちはひとつのメニューをのぞき込むようにして見てから、店員にふわふわ卵のオムライスとグレープフルーツジュースを頼む。

　私たちは好みが似ていて同じものになることが多い。

「昨日政略結婚の相手と会ったんでしょう？　どうだった？　十三離れているんだからおじさんだよね？」

　真悠はテーブルから身を乗り出すようにして心配そうな瞳で見つめる。

「おじさん……じゃなかった。カッコいい。ううん。カッコいいなんて言葉が申し訳ないほど素敵な人だったの」
「そんな人が政略結婚で相手を見つけるの？　お金もあって素敵だったらモテるんじゃない？」

　真悠は困惑顔だ。