【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ～御曹司と溺甘な政略結婚～
「心春は感じない？　だって、八神さんはお見合いの前日に聞かされたわけでしょう？　心春を知っていて助けたわけじゃない。それに、ずっと身を固めろと急かされていて、結婚をしなかったのは心春に会うためだったんだよ」

　恋愛小説が大好きな真悠は、うっとりとした表情になった。

「心春だって、八神さんが気になってるんじゃないの？」

　さすが幼稚園からの親友だ。私のことをよくわかっている。

「うん……そうなのかも。運命なのかわからないけど……」

　私はまだ迷いの中にいる。でも、返事は数時間後に迫っている。

　真悠はストレートに結婚しろとは口にしない。私の意志が大事だと思っているからだろう。

「真悠だったら……？　どうする？」

　冷めてしまったオムライスをパクッと口に入れて咀嚼した彼女はにっこり微笑む。

「私だったら結婚する。それで結婚生活が嫌だったら約束の日で別れる。別れてもお父さんの会社は融資を受けられるんだし」

　真悠に背中を押されて、私の気持ちが固まってきた。

「心春はラッキーだよ。生理的に受け付けない男じゃなくて。八神さんを見てみたいわ」

　たしかに相手が八神さんのような人でラッキーではある。


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