対立相手が婚約者。それって何かの冗談ですか?
「父さんも恵巳のことを心配してるんだぞ。彼氏を作る気配もないし、結婚願望もない。そこらじゅうの和歌を詠んでは恋愛した気になってる。もっと現実を見ろ!」
痛いところを突かれて一瞬怯んだが、すぐに息を吹き返した。父にだけは言われたくないのだった。
「それの何がいけないのよ!大体、お父さん、宮園泰造のこと嫌ってたでしょ!」
「それはうちの展示品を横取りしようとしたからだ」
「展示品は駄目で娘はいいの?」
「喜んで嫁がせる」
即答。その言葉に少しの曇りもないところが、さらに恵巳をイラつかせた。
「最低!馬鹿なんじゃないの!?言っておくけど、私が宮園家に嫁ぐってことは、交流館の持ち物は全部宮園家に渡ったようなものなんだからね。
いずれその所有権は私に回ってくるんでしょ。そうなったら実質宮園家が持ってるっていうのと変わらないじゃない」
「なんだと!それは困ったな」
本当に深く理解しているのかどうか怪しいリアクションだが、なんだかマズイことになっていそうなことは雰囲気で理解していた。
「わかったなら、今すぐ電話してきて」
「電話だ!娘は渡しても和歌は渡さんということを、もう一回言っておかないと!」
「はぁ!?」
電話を掛けに行く父の背中を蹴飛ばしてやろうかという衝動をどうにか堪えた。だが、地獄に落ちますようにと祈りながら、睨みつけた。
痛いところを突かれて一瞬怯んだが、すぐに息を吹き返した。父にだけは言われたくないのだった。
「それの何がいけないのよ!大体、お父さん、宮園泰造のこと嫌ってたでしょ!」
「それはうちの展示品を横取りしようとしたからだ」
「展示品は駄目で娘はいいの?」
「喜んで嫁がせる」
即答。その言葉に少しの曇りもないところが、さらに恵巳をイラつかせた。
「最低!馬鹿なんじゃないの!?言っておくけど、私が宮園家に嫁ぐってことは、交流館の持ち物は全部宮園家に渡ったようなものなんだからね。
いずれその所有権は私に回ってくるんでしょ。そうなったら実質宮園家が持ってるっていうのと変わらないじゃない」
「なんだと!それは困ったな」
本当に深く理解しているのかどうか怪しいリアクションだが、なんだかマズイことになっていそうなことは雰囲気で理解していた。
「わかったなら、今すぐ電話してきて」
「電話だ!娘は渡しても和歌は渡さんということを、もう一回言っておかないと!」
「はぁ!?」
電話を掛けに行く父の背中を蹴飛ばしてやろうかという衝動をどうにか堪えた。だが、地獄に落ちますようにと祈りながら、睨みつけた。