対立相手が婚約者。それって何かの冗談ですか?
今日も交流館は賑わっている。

気を抜くと、拡樹のこと、蓮のことで頭がいっぱいになりそうだった。何か月もかかってようやく少しずつわ忘れようとしていたというのに、会ってしまっては、また一からやり直しだった。きちんと忘れるためのステップを。

いっそ蓮に頼って、そんなステップなど飛ばしてしまおうかとも考えた恵巳。だが、それをやってしまっては、もう後には戻れない気がしていた。

そんなことをここ数瞬間考え続けている。寝不足な日が続いているが、今日も栄養ドリンクを飲んで立ち上がった。その瞬間、真っすぐ立っているはずなのに、床が歪んでいるように見えた。

「あれ…」

次に聞こえてきたのは、お客さんの大丈夫ですかという高い声。自分がその声を掛けられていると理解できる前に、意識がなくなっていた。

目を覚ました時には、病院のベットの上で点滴を打たれていた。

「病院?」

事を理解するまでに時間はかからなかった。

「働きすぎで倒れたんだよ。だから気を付けろって言ったのに。今おばさんが着替え取りに行ってる。今日1日入院らしいからゆっくりしとけよ」

ベットサイドには、レンガ付き添っていた。詳しい事情を聞き、さすがに働きすぎだと反省をした。

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