対立相手が婚約者。それって何かの冗談ですか?
「今日は館長がどうしても外せない用事があるもので、私が代わりに。
館長、今日、お相手のご家族とお食事だとかで私に仕事押し付けたんですよ。今頃幸せな時間でも過ごしてるんですかね。
そう思うと、イライラしてくるんですけど。うちのスタッフでも憧れてる人多かったんですけどね、相手がどこかの令嬢だって聞いたら憧れてるなんて言えなくなっちゃって。
館長も罪な男ですよね」
「そうなんですか」
表面上は平静を装ってはいるが、いつにも増して心臓がうるさく鳴っていた。
あの花火大会の夜に見た、拡樹と萌が並んだ姿が思い出される。あの笑顔を彼女にも向け、触れて、愛を語らっているのだろうか。
そんな想像が頭をめぐる。前に進めていると思ったのに、少しの刺激でこんなにも取り乱してしまうことに落胆を隠しきれなかった。
「宮園さんは、今日ずっと用事なんですか?」
「詳しくは聞いてませんけど、そうなんじゃないですか?
挨拶が済んだら、2人で出かけたりしそうですし」
「まぁ、そうですよね」
一体何を期待しているんだと、自分に苛立つ恵巳。煎餅に手を伸ばし、袋の中で荒く割り、食べることなく資料に目を落とす。
定例会の話の内容など何一つ頭に入ってこなかった。
館長、今日、お相手のご家族とお食事だとかで私に仕事押し付けたんですよ。今頃幸せな時間でも過ごしてるんですかね。
そう思うと、イライラしてくるんですけど。うちのスタッフでも憧れてる人多かったんですけどね、相手がどこかの令嬢だって聞いたら憧れてるなんて言えなくなっちゃって。
館長も罪な男ですよね」
「そうなんですか」
表面上は平静を装ってはいるが、いつにも増して心臓がうるさく鳴っていた。
あの花火大会の夜に見た、拡樹と萌が並んだ姿が思い出される。あの笑顔を彼女にも向け、触れて、愛を語らっているのだろうか。
そんな想像が頭をめぐる。前に進めていると思ったのに、少しの刺激でこんなにも取り乱してしまうことに落胆を隠しきれなかった。
「宮園さんは、今日ずっと用事なんですか?」
「詳しくは聞いてませんけど、そうなんじゃないですか?
挨拶が済んだら、2人で出かけたりしそうですし」
「まぁ、そうですよね」
一体何を期待しているんだと、自分に苛立つ恵巳。煎餅に手を伸ばし、袋の中で荒く割り、食べることなく資料に目を落とす。
定例会の話の内容など何一つ頭に入ってこなかった。