対立相手が婚約者。それって何かの冗談ですか?
「熱心に読んでるな。
そんなに拡樹くんのことが気になるのか?
連絡でもしてみたらどうだ?」
急に冷やかしてきたのは、倉庫から倉庫の片づけを終えて戻ってきた父。
「そんなこと言ったら連絡来そうだからやめて」
「またそんなこと言って。
旦那からの連絡を嫌がるなんて変だぞ」
「旦那じゃないから!」
即否定した恵巳だが、騒めきだしたのは、隣で別の会話で盛り上がっていたリタイア組。
「恵巳ちゃん、結婚すんのか?」
「相手がこいつかー。
イケメンを捕まえたねー」
「結婚祝い、何がいい?」
「式はどこで挙げるんだ?
おいちゃんの知り合いが式場で働いてるから、連絡してやろうか?」
「子どもは?
って、こんなこと聞いたら何とかハラスメントになるんだっけ?」
話は恵巳を置いてどんどん進んでいく。
「とにかく、この話は誰にも言わないように!」
それだけ放って、交流館を出た。