対立相手が婚約者。それって何かの冗談ですか?
ぶらぶらと歩いては、おいしそうなに匂いのするお店の前で立ち止まり、食べ物を物色している。一向に進まない食べ歩き。
「ほら、恵巳も拡樹君もどうぞ?おいしいわよ」
温泉饅頭を1つずつ渡す母は、すっかり温泉街の虜となり、一店舗ごとに立ち止まっては店員におすすめされるままに試食をしている。
「そういえば、もう少し先に串焼きが有名なお店もあるんですよ。行ってみませんか」
饅頭を飲み込んだ拡樹が人気の店を思い出すと、すかさず父が反応して2人の間に割って入った。
「串焼きか!いいな。熱燗があったらさらにいいな。くいっと一杯ひっかけたいな!」
「おいしいお酒が飲めるお店、知ってますよ」
「本当か!ママ、今日は拡樹君について行こう!
いやー、君はもう自慢の息子だよ!恵巳はちょっと頑固なところがあるからな、とっつきにくいところがあるが、あれは愛情の裏返しなんだ。末永くよろしく頼むな!はっはっはっ」
上機嫌に拡樹の隣につくと、次の店までまっしぐらに進んでいく。息子認定された拡樹も嬉しそうに歩いて行くが、その途中で後ろを振り返った。
「さぁ、恵巳さんも行きましょう!」
楽しそうな3人の背中は、本当に旅行中の家族のように見えた。拡樹の持つ、人の懐に入るうまさに戦々恐々とする恵巳だった。
「ほら、恵巳も拡樹君もどうぞ?おいしいわよ」
温泉饅頭を1つずつ渡す母は、すっかり温泉街の虜となり、一店舗ごとに立ち止まっては店員におすすめされるままに試食をしている。
「そういえば、もう少し先に串焼きが有名なお店もあるんですよ。行ってみませんか」
饅頭を飲み込んだ拡樹が人気の店を思い出すと、すかさず父が反応して2人の間に割って入った。
「串焼きか!いいな。熱燗があったらさらにいいな。くいっと一杯ひっかけたいな!」
「おいしいお酒が飲めるお店、知ってますよ」
「本当か!ママ、今日は拡樹君について行こう!
いやー、君はもう自慢の息子だよ!恵巳はちょっと頑固なところがあるからな、とっつきにくいところがあるが、あれは愛情の裏返しなんだ。末永くよろしく頼むな!はっはっはっ」
上機嫌に拡樹の隣につくと、次の店までまっしぐらに進んでいく。息子認定された拡樹も嬉しそうに歩いて行くが、その途中で後ろを振り返った。
「さぁ、恵巳さんも行きましょう!」
楽しそうな3人の背中は、本当に旅行中の家族のように見えた。拡樹の持つ、人の懐に入るうまさに戦々恐々とする恵巳だった。