対立相手が婚約者。それって何かの冗談ですか?
あっという間の出来事に、眼が点になる。
「もう大丈夫です。行きましょう。…その前に、はだけてますよ?」
拡樹の優しい声に、ホッとした恵巳は、胸元をなおす拡樹の手をそのまま受け入れていた。
「はい、できましたよ」
「あ…、ありがとうございます」
お礼を言ったはいいものの、今になって胸元にあった拡樹の手を思い出した。それに加えて、拡樹のことを婚約者と呼んだことも聞かれていたかもしれないことに気が付き、急に気恥ずかしさに襲われた。あっという間に恐怖心よりも、その後の安堵よりも、気恥ずかしさの方が大きくなった恵巳は、そんな感情を悟られないように足早に部屋に戻った。
「恵巳さん?」
戸惑っている拡樹の声を背中で聞いて、なんだか体がむず痒くなるほどドキドキしていた。持っていたタオルで顔を仰ぐも、全く火照りがおさまりそうにはなかった。
「もう大丈夫です。行きましょう。…その前に、はだけてますよ?」
拡樹の優しい声に、ホッとした恵巳は、胸元をなおす拡樹の手をそのまま受け入れていた。
「はい、できましたよ」
「あ…、ありがとうございます」
お礼を言ったはいいものの、今になって胸元にあった拡樹の手を思い出した。それに加えて、拡樹のことを婚約者と呼んだことも聞かれていたかもしれないことに気が付き、急に気恥ずかしさに襲われた。あっという間に恐怖心よりも、その後の安堵よりも、気恥ずかしさの方が大きくなった恵巳は、そんな感情を悟られないように足早に部屋に戻った。
「恵巳さん?」
戸惑っている拡樹の声を背中で聞いて、なんだか体がむず痒くなるほどドキドキしていた。持っていたタオルで顔を仰ぐも、全く火照りがおさまりそうにはなかった。