対立相手が婚約者。それって何かの冗談ですか?
2日目の今日は、近くで友人に会うという両親をバス停まで見送った。

「さて、今日は何します?」

「お土産見たいです。明日親戚が来るので、せっかくだからみんなで食べられるものを。
拡樹さんは?職場に買って行きます?」

余計なお世話だったかと口をつぐむ。

「何が良いですかね?お土産選ぶの苦手なんですよね」

乗り気でいてくれてよかったとホッとする。しばらく温泉街を歩き、大きなお土産屋さんに立ち寄った。

「これとかいいんじゃないですか?温泉のマークがプリントされたクッキー。
大勢で分けられますし」

「喜ばれそうですね。なんだか、僕の職場に持って行くお土産を恵巳さんが選んでるなんて不思議な感覚です。夫婦らしくて嬉しい限りです」

「夫婦、なんて…。
私もお土産見て回ります」

一気に恥ずかしくなって店の外に並んでいる商品を見に行った。

言われてみれば、拡樹が持って行くお土産を選ぶなんて変な感じだった。それに、拡樹が何て言ってお土産を配るつもりなのかが気になった。

もしも婚約者なんてワードを使ってしまったら、騒ぎ立てられることは間違いない。その辺りは抜かりのない人だから、そういうミスはしそうにないが、とはいえ抜けているところもある。
若干心配になった。
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