対立相手が婚約者。それって何かの冗談ですか?
「お気遣いありがとうございます。ですが、知りたいことは、彼女に直接聞きますので」
その大人の余裕を見せる対応に、蓮は口角をひきつらせた。
「もう彼氏面かよ。
良いこと教えてやろうか?どう見たってあんたは恵巳のタイプじゃねーんだよ」
「余計なこと言わなくていいから。やまやん、そろそろ殴るよ」
そう言いながら背を殴った。
「もう殴ってんじゃん、いってーな!
こいつ、意外と暴力的なんだよな。もしかして、それも知らなかったか?」
背中の痛みを堪えながら、自慢げに目を見開いて挑発する。しかし、拡樹が目を伏せたのは一瞬で、すぐに顔を上げるとポンと手を叩いた。
「意外なところといえば僕も思いつくものがありますよ。僕たち、夜、ドライブによく行くんですけどね、車に揺られると恵巳さんはすぐに眠ってしまうんですよね。いつも静かに眠りに入ってるから、話しかけてるのに返事がこないことで初めて気が付くんですよね。
寝顔がかわいくて、家に着くまで起こせませんが」
「拡樹さんも、応戦しなくていいんですよ」
「お前、それで襲ったりしてないだろうな!」
「まだしてませんよ」
まだ。その2文字を、恵巳は聞き逃さなかった。
その大人の余裕を見せる対応に、蓮は口角をひきつらせた。
「もう彼氏面かよ。
良いこと教えてやろうか?どう見たってあんたは恵巳のタイプじゃねーんだよ」
「余計なこと言わなくていいから。やまやん、そろそろ殴るよ」
そう言いながら背を殴った。
「もう殴ってんじゃん、いってーな!
こいつ、意外と暴力的なんだよな。もしかして、それも知らなかったか?」
背中の痛みを堪えながら、自慢げに目を見開いて挑発する。しかし、拡樹が目を伏せたのは一瞬で、すぐに顔を上げるとポンと手を叩いた。
「意外なところといえば僕も思いつくものがありますよ。僕たち、夜、ドライブによく行くんですけどね、車に揺られると恵巳さんはすぐに眠ってしまうんですよね。いつも静かに眠りに入ってるから、話しかけてるのに返事がこないことで初めて気が付くんですよね。
寝顔がかわいくて、家に着くまで起こせませんが」
「拡樹さんも、応戦しなくていいんですよ」
「お前、それで襲ったりしてないだろうな!」
「まだしてませんよ」
まだ。その2文字を、恵巳は聞き逃さなかった。