最高の片思い
返事を待つまでのほんの数秒、
胸は激しく音を立て、とても長い時間のように感じた。

「ごめん、聞かなかった事にして欲しい」

副社長の少し困ったような顔に、
冷や水を浴びせられたかのような感覚が襲う。

「はい、すみませんでした」

これでも専務秘書を務めた経験もある。
どんな時でも冷静に・・・

ぎこちなく見られない程度の笑顔を浮かべ、
ケーキにフォークをさした。



その後は何を話したのか、どうしたのか思い出せない。
気づいたら予約してたホテルのベットに、うつむせに寝ころんでいた。

ホテルの部屋まで、足は自動で動いていた気がする。

じわっと涙があふれてきた。

失恋か・・・・

こんなに本気で好きになったのは、久しぶりだった、

胸は締め付けられ、息をするのも苦しい程なのに、
後悔は一つもない。

本当に、本当に好きだったのだ。
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