音楽好きの少女は、異世界で大人気の歌手になりました!!
街に響く歌声
私、歌子は周りの騒がしさに目を開ける。そして、目の前に広がっている光景に言葉を失った。

私は街中の横断歩道で事故に遭った。しかし、目の前にはトラックはない。というか、横断歩道もない。

まるでヨーロッパのような建物が立ち並び、果物や野菜などを売っている出店がある場所に私はいる。

え?これって、夢?頰をつねってみるけど痛い。夢じゃないみたいだ。

「えっ!?待って……!ここどこ!?ここって日本じゃないよね!?」

ひとりごとを言う私を、人々は不思議そうな目で見て通り過ぎていく。その人々の服装は、現代人は日常生活で着ないであろうドレスや衣装だったりする。学校の制服であるリボンのついた青いブレザーの自分の方が浮いていた。

「と、とりあえずここから離れよう……」

人の視線が痛く、私は壁際に寄る。壁の冷たさも本物だ。しかし、日本にいたはずの私がなぜヨーロッパに?もしかして、トラックに轢かれたというのが夢?

訳がわからず、私は頭に手を当てる。困った時にする癖だ。その時、「あれ?」と私は耳に触れた。何かが付いている。
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