音楽好きの少女は、異世界で大人気の歌手になりました！！

「トバイアス！もう戻る時間だ！」

刑務官が俺に命令する。うぜぇ。この手に銃があれば、この刑務官を撃ち殺したいくらいだ。

ここにいれば、そう思うことはたくさんある。刑務官が上で囚人は下。

しかし、そんな理不尽に苛立つのもさっきが最後だ。

俺は心の中で笑いながら、部屋へと向かう。

ジャック様が脱獄をしたと聞いた時、心の底から嬉しかった。再び世界を支配される、そう願っていた。しかし、それは叶わなかった。

ならば、俺の手でジャック様を助けるしかない。ジャック様の右腕とも言われたこのトバイアス・ジョーンズが……。

俺の部屋は相部屋だ。俺と同じくジャック様のもとで動いていたロバート・ホズマーと同じ部屋だ。こいつはラッキーだった。

「ジョーンズ、もうすぐ決行の時だぜ」

ベッドの上で寝転んでいたホズマーが起き上がり、俺に笑う。

俺たちは、脱獄を計画している。今日が決行の日だ。

脱獄する理由は、ある装置を動かすため。その装置を起動させればジャック様を助けられる。