音楽好きの少女は、異世界で大人気の歌手になりました！！

トバイアスが壁を探り、スイッチを押す。その刹那、地下へと続く道が現れ、私たちは地下に行くように命じられる。

地下には、様々な道具が置かれていた。ここは研究所のようなものだったみたいだ。

私は、クロエちゃんたちから離れた場所にある卵の形をした巨大な装置の前に連れて来られた。

「お前をこの世界に連れてきたのは、俺だ」

トバイアスが私に銃を向けながら、静かに言う。

「お前にそのイヤリングをやったのも俺。お前は俺の言うことを聞け。世界を、絶望と悲しみに満ちるような歌をここで歌え！絶望で世界が満たされれば、ジャック様を助けられる！！」

クロエちゃんたちが悲鳴を上げ、ロバートが「黙れ！！」と怒鳴る。トバイアスは銃を私に向けたまま、「どうする？」と微笑む。

私は、この世界で過ごしたことを思い出す。そして、覚悟を決めて口を開いた。



俺、リーバス・ヴィンヘルムの家では、刑事数名とレムとロビン、そして対策本部のメンバーたちが揃っていた。

刑事たちは馬車の捜索をしてくれているが、見つかっていないそうだ。当たり前だろう。二ヶ月も警察の目を潜り抜けてきた犯罪者なのだから……。