音楽好きの少女は、異世界で大人気の歌手になりました!!
分厚い壁に鉄格子。ベッドとトイレがあるだけの薄汚い部屋。

「あばよ」

俺はそう呟き、ホズマーの後を追った。



俺とホズマーは、十二年ぶりに自由を味わった。外の空気はやはり監獄とは違う。

俺とホズマーは、監獄から離れた後はジャック様が教えてくれた装置のある森の中を歩いていた。

「ここに、ジャック様を助けられるもんがあるんだよな?」

ホズマーは見せてもらったことがないようで、さっきから口を開けばこれだ。

「ああ。前に見せてもらった」

何十分も歩き続け、俺たちは小さな古い小屋に出会う。ジャック様が装置を隠した場所だ。

小屋の近くにあるまき置き場には、ジャック様が隠した武器がいくつもある。俺とホズマーは、それぞれ銃を手にし、小屋の扉を開けた。

中には誰もいない。埃が積もった部屋には、何もないーーーように見える。

部屋の壁を俺は触る。五分ほど壁をあちこち触っていると、壁の中に埋め込まれたスイッチを発見し、それをためらうことなく押す。
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