拾ったワンコが王子を連れて来た

稀一郎さんの言葉に、私だけじゃ無くゼネラルマネージャーも呆気にとられた。

「は?」

「柊真、お前に食わせる飯はない!
とっとと帰れ!」

ゼネラルマネージャーを、最初に食事に誘うと言って居たのは稀一郎さんなのに、突然なにを思ったのか、ゼネラルマネージャーに帰れと言い出したのだ。

「ちょ、ちょっと稀一郎さんなに言い出すの?」

だがゼネラルマネージャーは、失礼極まりない稀一郎に対して怒る事なく「あーそう言う事か?」と言うと、ニヤっと笑った。

そう言う事ってどう言う事?

「真美さん、これから私、いや、俺の事は柊真と呼んでくれるかな?
親愛を込めて?」

え?
「そ、そんなゼネラルマネージャーを下の名前で呼ぶなんて…」

「君と初めて夜を過ごしたのは、稀一郎じゃ無くて僕でしょ?」

ぼ…僕!?
ゼネラルマネージャーが、自分を僕??
稀一郎さんだけじゃなくて、ゼネラルマネージャーまでも…
どうなってるの?

「僕達の仲で役職名で呼ぶのは可笑しいだろ?
稀一郎に気を使って、君がどうしても無理だと言うなら、社命令にしても良いけど?」

社命令⁉︎
「ゼネラルマネージャー…」

「ゼネラルマネージャーじゃ無くて、柊真だよ?
ほら、呼んでごらん?」

ゼネラルマネージャーは少しずつ私との距離を縮め、今にも体が密着しそうな所まで迫って来た。

「え、えーと…と、柊真さん…?」

「ん?なーにま〜みぃ?」と、ゼネラルマネージャーは私に言うと、ニッコリ微笑んだ。

まっま〜みぃ??
いま、ま〜みぃって言いましたよね?
聞き違いじゃ無いですよね??
イケメンの微笑みは、マジで恐ろしい。
私なんかにあり得ないと、分かっていても堕ちそうになる。

「こ゛ら゛柊゛真゛!!
お前いい加減にしないと、マジで追い出すぞ!?
真美も、後でお仕置きだから覚悟しとけよ?」

えぇぇぇ…お仕置き…?
な、なんで?
私なんかした?




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