拾ったワンコが王子を連れて来た
戻ってきた戦士は敵か味方か?
稀一郎さんは、専務になった桜花崎さんの秘書になってから毎日忙しい様で、夜は遅いし、朝は、私が起きた時には、もういない。
忙しいのは分かるし、慣れない仕事に一生懸命なのも分かる。
それでも…
少しくらい話す時間くらい取ってくれても…
なんて思うのは、贅沢な事なのだろうか?
「さっちゃん、私贅沢な事言ってる?」
今日は久しぶりに、さっちゃんを誘っていつものレストランへ食事しに来ていた。食事に誘ったと言うより、愚痴を聞いて欲しくて誘ったのだ。
「私達結婚して2ヶ月だよ?
世間じゃ、まだ新婚ほやほやって言うんじゃないの?
私が起きて待ってないと、顔を合わせる時間もないんだよ?
それなのに、最近はただいまのキスもないんだよ?
これじゃ家庭内別居だよ?」
「うっわぁー、真美溜まってんね?
今夜は朝までコースで飲んじゃう?」
「ううん。外では飲まない約束だから…
食べたら帰る」
「何だかんだ言っても、生田さんの事愛してるんだ?」
私の事をよく知ってるさっちゃは、当然の事では有るが、的を射る発言をした。
「勿論! 愛してるよ?」
「あらま、ご馳走さま!」と、さっちゃんは呆れたかの様に言った。