拾ったワンコが王子を連れて来た
恭子 side
モデル並みのスタイルの良さで、イケメン。
そのうえお客様からの評判も良く、どんな仕事もスマートにこなす事から王子様と言われ、ホテルの人間だけでなく本社の人間からも頼られ男女問わずモテ続けた生田さんが、ついに結婚したと聞いて、王子様の心を射止めた彼女を知りたくて、私は彼女の仕事ぶりに注目していた。
彼女の笑顔には、人を癒すモノがある。仕事ぶりは満点と言って良く、直属の上司であるベルのチーフからも高い評価をうけていた。
だが、会社のルールに沿ったサービスをなんなくこなしている彼女へ、私はいつしか物足りなさを感じていた。
なぜ、あなたは満足してるの?
なぜ、諦めるの?
ホテルの仕事は、教えられた仕事が全てではない。
きっと、気付いてる筈なのに…
お客様の求めてるサービスを
お客様すら気付いてないお客様の気持ちを…
彼女はきっとわかってる。
それをなぜ出せないのか…
きっと出せないのではなく、彼女はださないのだ。
自分が今いる立場では、出すぎるべきないと思ってるから…?
ホテルには各サービスによって、プロと言われる担当者がいる。
流石、生田さんの心を射止めただけは有ると思ったと同時に、ベルにしておくのが勿体無いと思った。
ベルの仕事が、彼女のホテルマンとしての気持ちを邪魔してる。
彼女なら、もっといいホテルマンになれるのに…
彼女をベルに就かせておくのは勿体無い。
今の私なら力がある。
でも、その前にやらなきゃいけない事が有る。
「そりゃー仕事が忙しいのは知っれますりょ?
秘書れすし、今まれぇの様に休みも取れないのも知ってます!
れも、れもれすね? 私達、まら結婚して1年経ってないれすよ?
新婚じゃないれすか!?」
「そうよね?」
「セックスらって、彼がひりょになって数回れすよ!
倦怠期の夫婦じゃありゃましいし!」
あらら…
これは溜まりすぎでしょう…
「真美さん、もう少し声を落とそう?」
「セックスはらいじれすよ!
そうおもいまれんか?」
これはヤバい…
絶対、怒られるでしょ?
「真美さん、そろそろ帰ろうか?
送って行くから?」
「いりゃれす!もうりょっとのみまりょう?
ほら、恭子らゃんも!」
これは無理だ…
彼女が抱え込んでる事はわかってたから、我慢ばかりしてたら、ダメだと教えるつもりだったけど…
ここまでとは…
斗真さんにも考えて貰わないと…
いつか生田さん夫婦に危機が訪れるよ?
そうなった時、SAKURAホテルは素晴らしい人材を二人も無くすことになる。