拾ったワンコが王子を連れて来た
二人(生田さんと犬)をお風呂場まで運び、シャワーで温めてあげる。
「生田さん! 生田さんわかりますか?」
意識を失ってる彼の頬を叩き、私は何度も名を呼んだ。
「あー…君は…木ノ実さん? どうして?」
良かった…
「ここ、私の家です。詳しい話は後にして、今は身体を温めて下さい。
着替えは外に用意しておきますから?
あ、それから、このワンちゃんも一緒に温めてあげて下さい」
私は浴室を出ると、父が残していった物で、彼が着れそうな物を探した。
「生田さん、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫」
「先にワンちゃんを出してくれますか?」
扉の隙間からワンちゃんを出してもらうと、タオルで拭きドライヤーで乾かしてあげる。
「シャンプーしてもらったんだね? 綺麗になって良かったね?」
汚れていた毛は白く綺麗になっていた。
生田さんが洗ってくれたのだろう。
「本当はブラシングした方が良いんだろうけど、犬用のブラシなんて無いから、今夜は乾かすだけで、我慢してね?」
明日、仕事休みだから、この犬(こ)の物買いに行こう。って言うか…
「君の今夜のご飯…どうしよう…?」
犬ってなに食べさせて良いのかな?
飼った事無いから解んない。
調べて見るか?
食べさせていけないものは解ったけど…
ウチに今あるものって言ったら…
牛乳にパン、それに卵でしょ…
でも、人間が食べる物は余りあげると良く無いみたいだし…
明日、ドックフード買ってくるとして、今日は牛乳を薄めてあげるかな?
「ワンちゃん、ほらミルクだよ?」
飲んだ! 良かった…
「明日、ドックフード買って来てあげるからね?今日はこれで、我慢してね?」
「その犬飼うの?」背後からの声に振り返れば、父のスウェットを着た生田さんが立って居た。