拾ったワンコが王子を連れて来た
父より背丈がある分、少し窮屈そうな彼。
「服、父のではやっぱり小さいですね?
でも、それしか無くて…」
流石にパンツだけは他人(ひと)の物は履きたく無いだろうと思って探したら、父の買い置きのトランクスがあって助かった。
生田さんのパンツが何派かは知らないけど、新品なのだから、そこは我慢してもらおう。
「いや、世話かけて申し訳ない」と言う生田さんにお茶を淹れると言って、私はヤカンでお湯を沸かす。
「どうしてあんな所に居たんですか?」
お酒に酔っていた訳じゃないみたいだし?
「・・・・・」
「あ、話したくないなら、話さなくて良いですよ? お茶どうぞ温まりますよ?」
生田さんは、ありがとうと言って、右手で湯呑みを持ち、左手を添えてお茶の香りを少し楽しんで一口飲んだ。
この人…いつも思ってたけど、所作が綺麗。
良家の出なのかな?
「先に聞いて良いかな?」
ん?
「さっきも聞いたけど、その犬、君が飼うの?」
「拾って来ちゃいましたからね?
首輪もしてないし、この犬(こ)が居たいなら飼おうと思います」
「じゃ、僕も飼ってくれる?」
はぁぁぁ??
今、飼ってくれって言いました?