拾ったワンコが王子を連れて来た
「動物の物とは言え、結構するもんだなぁ…
諭吉さんが飛んでったよ…」
ワンちゃんが待っているだろうと、私は家路を急いだ。
家の近くまで帰って来ると、二人(生田さんとワンちゃん)が、前を家に向かって歩いていた。
え?
なんで…
ワンちゃんはリードも付けずに、生田さんの横にぴったりとついて歩いていた。
私は、驚くのと同時に、心配して彼らに駆け寄った。
「生田さん!」
「え? あっ…お帰り」
何か悪い事が見つかった様に、生田さんの眼は泳いでいた。
なんだろう…
生田さんの態度なんか気になる。
ワンちゃんは私の帰りに尻尾を大振りして喜んでくれた。
もう何年も、私の帰りを喜んでくれる様な人は居なかったから、素直に嬉しい。
「君はなんて可愛い犬(こ)なの大好き!」と言って彼(犬)に抱きつき、撫でてあげる。
「生田さん、お帰りじゃ無いですよ!?
リードも付けずに散歩したら、ダメじゃ無いですか!?
犬を散歩させる時は、リードを付けるのは飼い主の義務です!
いくら、預かっているだけと言っても、今は飼い主と同じなんですから!
もし、この犬(こ)になんかあったら、どうするんですか?」
「……あ、ごめん」
「ワンちゃん、窮屈かもしれないけど、外では首輪つけようね?」
私は買って来た首輪を付け、リードを付けると一緒に家へと帰った。