拾ったワンコが王子を連れて来た
家に帰ると、彼(犬)の足を拭いてあげる。
あ、もしかしてあの靴は、こういう事なのかな?
靴を履いてれば、外から帰る度に足を拭く事も無く、靴を脱がせれば良い。
だから、ちゃんと四つセットになってたんだ?
でも、絶対歩き難いでしょ?
もともと、動物は靴なんか履かないんだから?
人間の勝手な思いで、この犬(こ)達に窮屈な思いは、私はさせたく無い。
「ウチの中では首輪も取ろうね?
お店の人に聞いて、君の為に色々買って来たよ」
ドックフードに、おやつ、それから歯ブラシセットやシャンプーを袋からテーブルの上へと出す。
「え…随分買ってきたなぁ…」
余りの多さに、生田さんは呆れていた。
「私、何も知らなかったから、色々店員さんに聞いたんですよ?
犬種も、分からないから、ドックフードはどんなものにして良いか判らなくて?」
「あー犬種はサモエドだよ」
「え? なんで生田さん…知ってるんですか?」
「…む、昔、祖父が同じ犬種を飼ってたから…」
「なんだぁ。
それで、ワンちゃんの扱いに慣れてるんですね?
だったら、生田さんにお願いすればよかった」
「これ全部でいくらだった?
このワンコロのモノは俺が金だすから?」
「え? なんでですか?」
「いや…俺が君に助けて貰ったのも、このワンコロのお陰でもあるし…」
確かに、このワンちゃんが生田さんの元に行かなければ、私は生田さんに気づかずに帰っていたと思う。
「これは、私が勝手にやってる事ですし、生田さんが気にする事じゃないですよ?」
お腹空いてるだろうからと、買って来たドックフードを器に入れて彼(犬)に出してあげた。
しかし、お腹が空いてるはずなのに、全く食べ様としない。