拾ったワンコが王子を連れて来た
仕事も終わり、更衣室で着替えていると、生田さんからのLINEが入った。
《今から来る?》
多分屋上への事だろう…
昼間の話を聞いた以上、もう、屋上へ行く事もやめた方が良いだろう。
もし、また誰かに見られでもしたら、今度こそマズイことになる。
〈行きません!〉
《なんで?》
なんでって…
私達の噂が、私の耳に入ったて事は、ファンの多い生田さんの耳にも多分入ってる筈。
なのに、“ なんで ” は無いでしょ?
〈なんでも!〉
《一人じゃ寂しいじゃん?》
しるかそんな事!
誰が寂しかろうと、私の知った事では無い!
〈知りません!〉
《待ってるからおいでよ?》
マジ…ウザい!
はぁ…
ID交換しなけりゃよかった…
〈お先に失礼します!〉
LINEを返していると、さっちゃんがお疲れと言って覗き込んで来た。
「なになに?
やっぱり、彼氏が出来たって本当なの?」
「違うって! 捨て犬を拾ってね? その犬の世話があるのよ?」
「なんだ犬か…? しかし、捨て犬拾って来るなんてあんたも物好きだね?」
まぁ確かにそうかもしれない。
あんな大きなオマケも付いてきたんだから…
「じゃ、私行くね?」
お疲れ様と更衣室を出た所で、LINE電話が鳴った。私は相手を確認して、電源を落とした。